小満の候、梅雨入りを間近に控えた6月3日の代々木の森。頼りなかった木々の若葉もたくましい葉っぱに育ち、足下には、クサイチゴの真っ赤なボンボンに代わり、ドクダミの白十字の真っ白な花が広がっています。

梅雨入り前後の5月下旬から6月上旬は梅の実が旬を迎えます。昔から、この時季になると、家族で梅干しや梅酒、梅シロップを作る「うめしごと」が行われてきました。この時季の歳時記であり、風物詩でもあります。今回のワークショップには、9家族29人が集まり、ご家族で「うめしごと」を体験しました。

さて、今回のお友だちの半分くらいは、梅干しを食べたことなく、大半が青梅を見たことがないそうです。今回は、梅干しは作りませんでしたが、梅の木との出会いや青梅の発見、シロップづくりなど、心踊る小さな冒険が待っていました。どんな様子だったか覗いてみましょう。

うめしごとの一部を知ることができる絵本「うめのみとり」(福音館書店)の読み聞かせから、うめしごと体験は始まりました。絵本は、梅雨空を背景に、女の子と近所のおばあちゃんの優しいやりとりを通して、梅と人の生活、梅の実のつきかた、色、香り、を教えてくれました。
読み終えたお友達のみんなは、会場の庭の大きな梅の木、青や黄の梅の実、竿でつついての梅落とし、絵本で見た光景に早く会いたくてウズウズしていました。

お友達は、各々に心躍らせ、ちびっこ探検隊に変身、梅の木を探す冒険に出発しました。会場内の丘を越えて、小さな小川を渡り、池のほとりを歩いていくと、大きな桜の樹。そこの木陰でちょっとひと休み。ここからは、梅の木に近づくために目隠しをして進まなければなりません。お父さん、お母さんがしっかりと子どもたちの手をつないで歩いていきます。
「ボーって、何だ?この音」池の水を循環させるポンプの音に気づくお友達、「鳥が鳴いた」と小鳥の鳴き声に気づくお友達、そして、土から石へ足元の地面の変化を、日陰から日向へ太陽を浴びて暖かな日差しに気づくお友達、だんだんと色んな感覚が研ぎ澄まされてきたようです。準備運動は完了です!

「桃の匂い!」誰かが叫びます。そう、桃の匂いの正体は梅、ちびっこ探検隊は梅の木に近づいたのです。梅の木の下に到着し、目隠しをはずすと、子供たちは梅の木の葉っぱの木漏れ日に照らされて地面に広がる黄色く熟れた梅の実を目にしました。「あっ、絵本の金色の梅の実だっ!」ちびっこ探検隊のお友達たちは、梅の実の香りを香ったり、シャツのお腹の部分をまくって梅の実を集めてみたり、しばらく地面の梅の実と遊びました。
今度は、地面から目を離して上を見上げ、木になっている梅の実を探します。青梅は葉っぱの色と同じでなかなか見つかりません。お父さんお母さんも一緒に目を凝らして梅の実を探します。しばらく静かな時が流れます…。
「あった~!」一人が見つけると、「太い枝から梅の実がなってる!変なの~。」「葉っぱの裏に隠れてた!」と見つけた喜びや発見をお父さんお母さんとわかち合う、お友達のキラキラした声が聞こえてきます。さて今度は、竹竿でつついて梅の実を落としてみることにしました。背伸びして一生懸命突っつくお友達、お父さんに肩車や抱っこをされて突っつくお友達、みんなそれぞれ一生懸命でした。
すると、「梅の実ってモモみたいにふわふわしてるね!」梅の実を手に取ったお友達の声です。そういえば先ほども「梅の匂い!」という声。実は、ウメはモモの親戚。同じバラ科の植物なのです。だから香りも青梅の表面の産毛の様子も似ているのかもしれませんね。
「子供の食べるものに、子供のブラックボックスは作りたくないんです」とおっしゃるお父さんお母さんがいらっしゃいました。「きせつ×おんがく×そとあそび」プロジェクトも同感で、見て、聞いて、嗅いで、触って、味わうと、たくさんの発見が生まれ、知識となり智慧となって、子供の世界が豊かになるものと信じています。

さて、しばらく梅の木の周りで遊びましたが、梅の木と梅の実とお友達になれたようです。では、いよいよお部屋に戻ってオーガニック青梅シロップづくりに挑戦です。

ご家族ごとに、水を張ったボウルに入った青梅を配ります。「わぁ、きれいな緑!」「まん丸梅」とお友達の感嘆の声。やはり、農家の方が丹精込めて育てて下さった青梅は立派な形と鮮やかな緑色をしていました。
さてはじめに、爪楊枝で梅の実のヘタを優しくとり、水気をきれいに拭いて並べますが、力み過ぎて実まで傷つけてしまうと美味しいシロップになりません。お友達たちもお父さんお母さんもみんな、真剣な顔つきでヘタを取っていました。みんな、一生懸命真剣にヘタ取りをしているお顔が素敵です。

青梅の準備が整ったら、今度は砂糖と一緒に瓶に詰め込みます。しかし、ただ詰め込めば良いのではありません。梅と砂糖(今回は、氷砂糖と純糖の混合です)を交互に重ねていくのですが、きれいな層になるようにするためには、工夫のしどころとなります。
「最初に瓶の一番下には何個の梅を置けばいいのかなぁ」と声に出しながら、大きさの違う梅の実を上手に組み合わせ、瓶の底に梅を並べていくお友達。その上に氷砂糖を並べて、スプーンでサラサラと砂糖をかけます。「お母さんみたいにお料理してる。」得意げな顔をして、瓶に砂糖を入れているお友達。周りに若干、砂糖がこぼれていますが、ここでは気にする必要ありません。思う存分楽しんでください。お母さんも笑顔で見守ってくれていました。

こうして幾層かの梅と砂糖のミルフィーユが出来上がったら、紙コップに入ったカビと発酵防止のためのお酢をかけ、パタン、カチン!蓋をして、「出来た~!」。
お友達のみんなは、青梅を洗って、ヘタを取り、瓶に入れて砂糖を重ねて、お酢をかけて、と全部自分でやったから、「出来た~!」の感動につながったのでしょう。

みんな楽しく、途中で嫌にならず、よく頑張りました。でも、これで終わりではなかったのです。お家に持って帰って、梅シロップになるまでは、まだ2週間ほどかかります。それまで、お友達のみんなは、毎日一回、「おいしくなぁ~れ~」と声をかけながら、瓶を揺らして、青梅シロップを育てるお役目があります。時間とともにお砂糖が溶けて、青梅のシロップが引き出されます。青梅は色が変わり、段々と皺になる。それとともに美味しい梅シロップの本当の完成に近づいてきます。その一日一日の移り変わりをご家族で楽しんでみてください。みんなのオーガニック青梅のシロップが美味しく出来上がりますように。