子どものふだんの生活の中には”力の種”
私の仕事では様々な立場の方から青少年教育に関する情報の照会をいただきます。今日は某団体の研究チームから
「これからの社会は学歴格差から体験格差が顕在化・問題化してくると思う。それはまた地域間での格差も見られるのではないか」
ということで、そうしたことを検討できるデータの照会を頂いたのです。
あいにくそうしたことを直接示すデータは持ち合わせていなかったのですが、確かに子供の体験格差は懸念されるところです。習い事やイベントに通うことができるかなどはご家庭の状況により様々です。そこには地域の事情の存在もあるかもしれず地域間格差も考えられます。そこで今日は、体験の効果と格差について考えてみます。
■□体験の効果は?
「すぐ効くよく効く簡単に!子供に○○力をつけたいならこの体験!」
残念ながらこういう処方せん的な分かりやすい体験の効果は示せません。
「じゃ、体験の効果は何よ?」
と疑問に思うかもしれません。
その効果とは、今すぐ効かないかもしれないけれど大きくなったとき子供の頃の体験が実は“力の種”であったと気づくのだ。ということです。
例えば国立青少年教育振興機構の調査では、子供の頃に様々な体験(自然体験や生活体験、文化芸術体験など)をたくさんしていた大人ほど社会を生き抜く力(自己肯定観、意欲、へこたれない力、コミュニケーション力)が高い傾向があることが分かっています。様々な体験を出発点に興味関心の芽が育つのです。子供のうちのたくさんの体験により育った興味関心の芽生えがその後のチャレンジや出会いの可能性を拡げるということです。ではどんな体験をどうやってさせるのでしょう。
■□体験にはお金と時間が必要?
「かわいい子には体験を!」
といわれても習い事に通わせたり、イベントに参加させたり、旅行に連れて行ったりと何かと持ち出しと時間がかかりそうで敷居を高く感じますよね。
でもそれは勘違いです。そうしたことが出来るならやってあげてもよいのですが、もっと大切なことがあります。
それは日常の生活の中での体験を大切にしてあげるということ。しかも大人も一緒に体験の場や機会を愉しむということです。ということは、お金や時間はかけずに、親の意識とアンテナを高く持っておくだけでよいということになります。ではそのヒントはなんでしょうか。
■□ふだんの生活の中の体験のヒント5選
例えばこんなものが考えられます
①お家の周りや近所の公園の自然で季節ごとの遊びを愉しむ
②お正月、節句、月見などの季節行事を自然物を使って愉しむ
③スーパーの買い物で季節探しをする
④掃除や料理などの一部分を任せてお手伝いを愉しむ
⑤積極的に地域の行事に出かけて参加する
あなたや子どもたちの普段の生活の中に体験の場や機会がたくさんあるはずです。それを上手く活かすことが出来るかどうかはあなた次第ということになります。うまく活かすことが出来れば、大人になった時の力の種を手に入れることが出来るのです。