潮が香る西伊豆の鉄釜炒りひじき

食べ物のルーツを知ることはとても楽しいでことです。今日は地元産「ひじき」から地域の活性化を考えてみます。

 

鉄分が多い健康食品の代表格「ひじき」、という話を聞いたことがある方も多いと思います。が、今ではこのお話も半分嘘になっているそうです。何故でしょうか?

それは、ひじき自体に鉄分が多いのではなく、出荷前に鉄鍋で炒ることにより、鍋の鉄分がひじきに多く吸収されるからだそうです。ところが最近は、ステンレス製の大鍋で炒る大規模工場生産が主となり、市場に出回る多くのひじきの鉄分含有量が少なくなった。ということのようです。

地元のアンテナショップで沼津西浦地区産の「鉄鍋で炊いたひじき」を見つけました。これがとても美味しかったのです!鉄分の味、広がる潮の香、やわらかいけれどしっかりとした口当たり、濃縮された旨味。

この超絶品ひじきの生産者に会いたい、育った海と造られた場所を見たい衝動に駈られ、先週末は伊豆半島へ久々の家族ドライブ。
沼津市街から海岸線を走らせること40分ほどでひじきの生産者さん「くぼた農園工房」に到着しました。

土蔵や古民家の建ち並ぶレトロな海岸の集落の中に水色のとたん壁がかわいらしい小さなお店があります。かつてのみかん収穫用の作業場を店舗「にしうらの恵み」として開店したそうです。店先では明るく元気な店主さんが出迎えてくれました。

店主さん曰く、この地区に嫁いで30年経ち、過疎の進む地の活性化、愛すべき海の幸、山の幸、伝統文化を若い人や他の地の人へ伝えたいと思い立ち、昨年このお店をオープンしたそうです。
 店内にはひじきの他にも地域のみかん「寿太郎」「青島」100%のみかんジュース、みかんの皮を使った七味ならぬ「六味」等オリジナル特産品が並んでいました。

店主さんは、5時間かけて鉄鍋でひじきを炒ること、海岸のひじきの生息地のこと、土蔵をはじめとした地区の建造物のこと等のお話をしてくれました。

また、お店経営の秘訣も二つ教えてくれました。一つは「パッケージデザイン」の大切さ。デザイナーさんにお願いしてロゴマークやひじきのパッケージを一新したら売り上げが急に伸びたそうです。二つは、都市部に商品を置くことで問い合わせや注文、私たちのようにお店を訪れたりという離れた地の人との交流も生まれているとか。子供たちには社会体験学習の機会にもなったようです。

 

 

 

 

愛すべき地域の自然と伝統文化や生業を見直し、その地区のヒト、モノ、ジョウホウを動かすことでお金も動き、持続可能な社会がつくられていく、そのはじめの一歩を学ばせていただいた一日でした。

くぼた農園工房
https://kubotanouenkoubou.jimdofree.com/