読解力の基礎を育てる家庭での季節体験
今日は最近何かと話題にあがる「読解力」をテーマに、家庭での子供の頃の季節行事を考えてみたいと思います。
【子どもの読解力が低下している?】
昨年12月3日、経済協力開発機構(OECD)が行った国際学習到達度調査(PISA)の結果が公表されました。本調査は3年毎に実施され、世界70を越える国と地域から約60万人の義務教育修了者が参加して行われました。日本からは無作為抽出された高校1年生6,100人ほどが参加しました。
その結果は例えば、「日本の平均点は、『数学的応用力』が6位、『科学的応用力』が5位だった。一方、『読解力』は15位で、前々回の4位、前回の8位から下がり続けている。」(2019.12.04読売新聞)のように報道されています。
私たち親にとって、こでいう「読解力」がいわゆる学校の国語のテストでイメージするものとは異なるという点に注意が必要であるということを述べておきます。
このテストで問われているのは、
●文章から必要な情報を抜き出すこと
●情報の真偽を判断すること
●事実と意見の差異を認識すること
●自分の意見を論拠とともに述べること
等です。また問題文もWebページ記事やブログ記事からの引用が多く、どちらかというと、「国語」のイメージよりもメディア理解をはじめとした「情報リテラシー」が問われているように思うからです。
【ICT、AI時代だからこそ体験に根差した感性の涵養を】
さて、Web上で誰もが自由に気軽に情報発信できる世の中だからこそ、それを批判的に捉え、自らの感性で考え判断することの重要性が増しているのではないでしょうか。こうした力を養うことができるのが小さな頃からの「体験」です。
体験そのものが子供のいわゆる非認知的能力を育むことは、様々に言われていますが、私はここに「家庭での体験」の機会を増やすことで、今日のテーマ「読解力」の元となる子供の感性の涵養の可能性が広がることを実感しています。
つまり、子供と体験を共有した保護者が、子供の体験を事実として捉え直し、どう感じたか、何を思ったか等の心の声を言語化することを手伝ってあげるという貴重な機会が広がるということです。それは、感性を満たすお皿である感受性を大きく育てることにつながり、その感性を武器にした読解力を身に付けてあげられるということです。
【私の反省、子どもの成長は焦らずに!】
子供は当然初めからそんなこと出来ません。だからこそ、いつも近くにいる大人が手伝ってあげるのですが、その大人が子供と同じ体験をしていることは大きなポイントです。「同じ体験」をキーに子どもに寄り添ってあげられるからです。出来ないことを叱ってはいけません。言語化のプロセスを楽しませてあげる工夫が必要です。
このプロセスでは、子どもは言い間違えや変な発音もします。でも、それぞれの成長段階で発された子供の言葉は私にとって宝物として今でも残っています。保護者の皆様は大きくゆったり構えて成長過程を楽しみましょう。
当プロジェクトでは季節の自然と行事を題材に家族で楽しめるイベントを開催しています。基本的に会場での体験イベントとご家庭での宿題をセットにして楽しんで頂いています。
皆様の身の回りにある自然やきせつ行事にはたくさんこの機会が隠れています。親子で具体的な体験を楽しみながら子供たちの心の声を言語化するプロセスも楽しんでみませんか。これまでのイベントの様子はこちらからご覧頂けます。