子どもSATOYAMAイニシアティブ②~森のカエルの一生にふれてみよう~
皆さんこんにちは、ハーブおじさんです。
私の住む町では、カエルの鳴き声があちこちから聞こえるようになりました。ケロケロ、ゲコゲコ色々な声が聞こえてきます。ここには何種類のカエルがいるんでしょうね。
忍者「アカガエル」
さて早速ですが、お子様に「カエルはどこに住んでいるかな」と聞いてみましょう。おそらく「田んぼ」とか「川」とか、水辺に関係した答えが出てくるでしょう。もちろん正解です。
しかし、今日紹介するカエルは山の中に暮らすカエルです。今回の記事では、このカエルの一生を通じて環境問題について考える話題と活動を提供します。
このカエル、忍者「アカガエル」です。私の勤務地のフィールドで特に森の中で見かけます。このように写真で見ると「あ、カエルですね」とわかりますが、フィールドで見かけるとなかなか見分けられません。地面の枯草と同じ色をしているから、うっかりすると踏んづけてしまいそうです(その前に逃げますが)。ぴょこんと飛んで遠くへ行ってしまうともう見つかりません。まるで忍者のようです。
自然の豊かさを示すアカガエル
このアカガエルがいることは、森の中の生き物の多様性(いろいろな生き物が暮らしていること)が保たれていることを示しています。
なぜなら、アカガエルが生きるためにはその餌となる昆虫がたくさん必要です。そして、アカガエルがたくさん暮らすようになるとそれを食べるヘビや鳥が暮らすようになります。その死骸は微生物たちに分解されて森の土に還り、樹々の栄養となって森に貢献し、新たな樹々が育っていくからです。アカガエルの周りではいかにたくさんの生き物が関わっているのかわかりますね。
アカガエルの一生から環境を考えてみよう
さらに、多くのお友達が答えてくれたように、アカガエルも水辺で生まれます。どういうことかというと、アカガエルのお母さんは水辺に卵を産みます。卵からかえったオタマジャクシは水中で暮らします。やがて足が生えてカエルの形になると水から出て、子どもの頃(幼生といいます)は水辺と森の間にある草原で過ごします。大きくなると(成体といいます)森の中へ入っていき、そこで暮らします。そして卵を産むころになるとまた水辺へ戻ってくる。という一生を送っています。なので、森の中だけではなく、水辺の多様性にもかかわっているのです。
なぜアカガエルは減ってしまったのだろう?
しかし、福岡県ではこのアカガエルが2014年に絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)に指定されています。近年、その個体数が激減したことが理由です。ではなぜ、激減してしまったのでしょうか?保護者の方からもう一度、前述の多様性とアカガエルの一生についてお子様にお
話ししてあげてから、どこの問題が起きるとアカガエルの数が減ってしまう=暮らせなくなるのか、一緒に考えてみましょう。
それは、つながりを絶ってしまったから
先ほどお話ししたように、アカガエルは一生のうちで水辺と森を行き来します。そして子供の頃はその間にある草原で育ちます。
このように
水辺→草原→森→水辺
というアカガエルの一生のサイクルをどこかで絶ってしまうようなことが起きれば、もう暮らせなくなり、数も減ってしまいます。
例えば、宅地造成や水路整備などで、水辺が埋め立てられてなくなる、放置されて乾燥してしまう、水辺と森をつないでいた草原がなくなる、などが考えられますが、いずれも人間の活動またはかつて人間が自然と関わっていたのにそれがなくなったことによるものが大きいと考えられています。
私たちが暮らしていく中でそうしたことが起きるのはある程度仕方ない部分もありますが、今回の記事で取り上げたアカガエルのことを知らなければ、全く気付かず、また気づいても何もしなければ、人知れず地球上から姿を消してしまうのです。それはとっても悲しいことではないでしょうか。ちなみに、子供のころから自然に親しんできた人は、その後の生物多様性への配慮意識が高い傾向があることも報告されています。次回は生物多様性の大切さについて触れてみたいと思います。